最後のほうにチョコレートのくだりがあるだけで、
森永製菓と利益相反はありませんm(_ _)m
ポイント
- 飲ませる直前に手際よく準備、しばらくすると苦くなる場合がある
- 口の中に残さず、水などは多めに
- 薬が飲めたら褒めてあげる
- それでも無理なら、アイス、ミルクココア粉末、チョコレートスプレッド!
よくあるご質問というか、お悩みです。
「先生、こないだもらった薬ですが、子どもが嫌がって飲めてません!」
「先生、入院中の〇〇ちゃんが薬を嫌がって飲めません!」
正直、おいしい薬などありません。お母さんやお父さんの中で、子どもが処方された薬を舐めたことがある方がどれくらいおられるでしょうか?子どものお薬は多くの場合ドライシロップのように甘くコーティングされております。しかし、おいしくはありません。大人でも、思わず顔がゆがむほど苦い子ども用の粉薬があることを、知っておかねばなりません。
駆け出しの小児科研修医のとき、指導係の小児科医に薬剤室へ連れて行ってもらいました。一般的に小児科で処方されることの多い薬剤を、ひとつひとつ口にしてみるように言われました。匂いは果物のそれによく似ていても、口にすると意外と苦い、なんてことが多かったです。それでも我が子に必要な薬を飲ませるためにはいくつかの工夫があります。
乳児には、スポイトか哺乳瓶の乳首であげましょう。一回分をなるべく少ない水分で小皿に溶かし、それをスポイトで吸って、舌の右か左の隙間に滑り込ませ、少しずつ流し込んであげます。むせないように、少しずつにしましょう。お腹がいっぱいのときにあげてしまうと、飲んでくれなかったり、その後吐いてしまうことがあるため注意が必要です。哺乳瓶の乳首を吸わせて、そこに溶かした薬を流し込みます。
幼児期は、だんだんと味の善し悪しが分かってくるようになり、親御さんの苦労が増えるときです。水に溶かしてスプーンで、オブラートに包んで、普通に飲む、などのオーソドックスな方法で飲めれば苦労ありません。大変手のかからない、お子様です。しかし、世の中には自分を含めて薬を心の底から嫌いな子どもも多くいることでしょう。さて、そのときにどうするか!私は、以下の方法をお母さんや看護師さん、薬剤師さんにお願いします。
方法その①は、乳脂肪分の多いアイスクリームです。つまり、高いアイスですね。そう、なんとかダッツなどが代表的です。これは苦味を和らげてくれる効果があるためです。
その②は、ミルクココアの粉末です。これはココアそのものが少し苦味を持つため薬の苦味がマスクされ、ミルクの脂肪分が苦味を和らげてくれます。
その③がチョコレートスプレッド(パンに塗るペースト状のスプレッド)です。
これらはなかなか強力で、経験上この3つを試せばたいていどれかで飲めます。チョコレートやカカオパウダーの甘みと苦味をうまく利用した方法は世界共通です1。多くの内服薬でこれらの飲み合わせが問題となることは少ないですが、あらかじめ医師や薬剤師に確認しておくとより良いでしょう。
ところで、チョコレートは脳神経細胞の活動を高めてくれます。特に、ダークチョコレートはフラボノイドを他の種類と比べて多く含みそれが良いようです2。うーむ、私はホワイトチョコレートが好きなのだが、まあええか。
適度に摂取して、脳神経に栄養をあげて仕事や育児に精を出すと良いかもしれません。なお、チョコレートをいっぱい食べるとニキビが増えるとよく言われますが、実際調べてみると関係ないようです3。誰だろう、そんなデマを世界で最初に流してバズってしまったお方は。
- Gardiner P, Dvorkin L. Promoting medication adherence in children. Am Fam Physician. 2006;74(5):793-798. https://www.aafp.org/afp/2006/0901/p793.html. Accessed May 21, 2020.
- Santiago-Rodríguez E, Estrada-Zaldívar B, Zaldívar-Uribe E. Effects of Dark Chocolate Intake on Brain Electrical Oscillations in Healthy People. Foods. 2018;7(11). doi:10.3390/FOODS7110187
- Magin P, Pond D, Smith W, Watson A. A systematic review of the evidence for “myths and misconceptions” in acne management: diet, face-washing and sunlight. Fam Pract. 2004;22(1):62-70. doi:10.1093/fampra/cmh715
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