ポイント
- 赤ちゃん体操は、少し首がしっかりしてくる生後2ヶ月から発達に応じて行う
- スイミングは定頸がしっかりした6ヶ月からが望ましく、低体温症や水中毒、感染症に注意が必要
https://www.youtube.com/watch?time_continue=24&v=ict2cmgTCOI&feature=emb_title
いつだったか、ニュースでこの動画を見て肝を冷やしました。生後4ヶ月とされる自身の子どもを振り回す父の姿に、恐怖さえ感じました。赤ちゃんは私達が思う非常に繊細なので、どう扱うかはとても大切な問題です。
この行き過ぎた例を除いて、上記の質問は日常診療でよくあります。赤ちゃんの発達に応じた運動刺激は、正常発達において欠かせません。以前もジョリージャンパーについて触れたこともありますが、赤ちゃんの運動について考えるときに必ず押さえる必要がある条件としては首がすわっているかどうかです。
赤ちゃん体操は、いろいろなバリエーションがありますが、最大の目的は親子のスキンシップです。決して筋力を強くするためでも、特殊な運動を身につけるためではありません。よって、赤ちゃんが泣き出す、嫌がる場合は中止するほうが良いでしょう。
さらに、スイミングは首がすわっていてかつ体幹の筋力がある程度ついていることが望ましいため生後6ヶ月ごろが良いでしょう。米国小児科学会によって出された勧告をまとめると1、①本格的なスイミングは4歳をこえてから、②乳幼児の水中プログラムは溺水のリスクを減らさない、③乳幼児が水中にいるときは片時も目を離さず手の届く範囲を越えてはならない、④低体温症や水中毒、感染症に注意、⑤小児科医は乳幼児の溺水を減らすために啓蒙しましょう、とされています。
乳幼児に適切な水温は32℃前後であり、一般的な温水プールよりやや高めです。それより低い水温の場合は赤ちゃんには冷たいです。入水時間は30分以内が望ましいでしょう。
水中毒はあまり聞き慣れないかもしれないですが、要するに水をがぶがぶのんでしまって起こる血中のナトリウム濃度が希釈されることで起こる嘔吐や意識障害などの症状です。乳幼児の場合は顔を水につけないほうが良いでしょう。
スイミングに関連した感染症ですが、アトピー体質の方は子どもか大人かによらず、風邪の原因となるライノウイルス感染により喘息のリスクが上昇することが知られています2。その他、胃腸炎などの罹患リスクもあります3。スイミングで得られる生活習慣病の予防効果や体力強化などの良い効果も当然あるため4、そうした危険性を理解した上でスイミングを楽しむことが重要でしょう。
冒頭の写真はNirvanaのCDカバーです。高校生のころに出会ったきり聞いておらず、音楽性はあまり好きではありませんが、この記事を書いていてなぜか彼の音楽が思い出されました。もしかすると好きなのかも。
- Prevention, C. on S. M. and F. and C. on I. and P. Swimming Programs for Infants and Toddlers. Pediatrics 105, 868–870 (2000).
- Valeriani, F., Protano, C., Vitali, M. & Romano Spica, V. Swimming attendance during childhood and development of asthma: Meta-analysis. Pediatr. Int. 59, 614–621 (2017).
- Sanborn, M. & Takaro, T. Recreational water-related illness: office management and prevention. Can. Fam. Physician 59, 491–5 (2013).
- Tanaka, H. Swimming Exercise. Sport. Med. 39, 377–387 (2009).
さいごに
記事の内容がお役に立ったと感じていただければ、ブックマークをお願いします。それを参考に、今後のテーマを決めて行きたいと思います。
また、疑問点やさらに深めてほしい点などございましたらコメントをぜひいただけると幸いです。