とある小児科医が伝えたい脳と心の育て方

みなさまのお子さまの潜在能力が、存分に引き出されますように!

先回りして除去すればアレルギーが予防できる?

正しいものはどれでしょうか?

  • 妊娠しているときに母親がある食物を除去すると、生まれてくる子どもがアレルギーになりにくい?
  • 授乳中の母親がある食物を除去すると、乳児がアレルギーになりにくい?
  • 離乳食である食物を除去すると、子どもがアレルギーになりにくい?

 

 

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Journal of Allergy and Clinical Immunology  Volume 137 Issue 4 Pages 998-1010 (April 2016) DOI: 10.1016/j.jaci.2016.02.005

 

 これらは、小児科の外来で聞かれることが多いアレルギーに関連するご質問だ。さて、ご覧いただいた皆様のお答えはいかがだろうか。医師、特に小児科医であっても、これらの質問に根拠をもって答えられる方がどのくらい居られるだろうか。もしも、かかりつのの小児科医にこれらの質問をして、患者さんの保護者である読者の皆様が満足のいく答えをお持ちであれば、その方は間違いなく日々勉強している。いい医者であり科学者なので、信頼して通うと良いと思う。

 

 答えはいずれも、バツである。つまり、先回りして特定の食物を除去することは、食物アレルギーの発症予防には全く効果がないことが、これまでの研究からわかっている1。むしろ、離乳食の早期から予防したい食物を積極的に摂取させる方法もある。鶏卵、ピーナッツでも同様の報告がある2, 3。小児科学のみならず医学全体でも世界最高峰の医学研究雑誌からもこれらの報告が世界中からなされている。

 

 現時点では、まだ日本においてアレルギーの予防で離乳食開始早期から鶏卵やピーナッツなどを与える方針は立っていない。しかし、将来的に離乳食のあり方が、この食物アレルギー予防の観点から、根本的に大きく変わる可能性がある。少なくとも、現時点では先回りして食物を除去する必要はない。

 

参考文献

  1. 高増 哲也. クラス2食物アレルギー. 小児科診療 78, (2015).
  2. Palmer, D. J., Sullivan, T. R., Gold, M. S., Prescott, S. L. & Makrides, M. Randomized controlled trial of early regular egg intake to prevent egg allergy. J. Allergy Clin. Immunol. 139, 1600-1607.e2 (2017).
  3. Du Toit, G. et al. Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy. N. Engl. J. Med. 372, 803–813 (2015).

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初出掲載: 2020年 2月 15日