ポイント
・睡眠時間と質は別室睡眠の方が勝る
・アメリカ小児科学会は1歳まで同室睡眠を推奨している
・乳幼児突然死症候群は生後4ヶ月までに集中している
4ヶ月の男の子、ひなくんは我が家で一番小さな家族です。彼は日中、多くの時間を寝て過ごします。起きている間は、ママにおっぱいをもらうか、家族の誰かに遊んでもらっています。みんな忙しいときは、一人でくるくるメリーを眺めながら、行ったり来たりする動物のぬいぐるみのゾウさんやウサギさんに話かけたりします。
彼にとって、夜の睡眠は大変重要な問題です。2歳と4歳のお姉ちゃんたちが、彼の睡眠を妨げることが多々あるからです。特に2歳のお姉ちゃんは寝相が悪く、ときどき彼の寝ているところにぶつかって行くこともあります。日中、お姉ちゃんたちが保育園にいっている間の彼の睡眠は、寝室を独り占めできて比較的長いことが多いようです。お腹がすくまで、静かに寝れる昼の睡眠は、彼にとってはおそらく夜よりも質が良いだろうと思います。
アメリカでの研究で、赤ちゃんは別室睡眠の方が長く寝れるし睡眠の質が良いことが示されました1。ペンシルベニア州の単一医療施設で、2012年〜2014年に20歳以上の母から生まれた2500g以上の279人の赤ちゃんとその母親について分析しました。
グラフは睡眠時間を3つのグループで比較したものです。青が生後4ヶ月以降に別室睡眠の赤ちゃん、赤が生後9ヶ月以降に別室睡眠の赤ちゃん、緑がずっと同室睡眠の赤ちゃんです。このグラフからは2つのことが言えます。1つは、別室睡眠の青と赤のグループは緑に比べて睡眠時間が長いこと。2つめは、12ヶ月以降にその差が顕著になることです。
この研究の背景には文化的な違いも反映されています。つまり、アメリカでは歴史的に別室睡眠の習慣があること、体格の大きなアメリカ人の親による乳児の圧死事故が多いことが、日本との違いです。乳児の睡眠の様子が観察できるからという理由で、同室睡眠するママも日本では多いように思います。乳幼児突然死症候群は生後4ヶ月までに集中しており2、それ以降に別室睡眠を試してみるのは母親にとっても赤ちゃんにとっても良いことかもしれません。
- Paul IM, Hohman EE, Loken E, et al. Mother-Infant Room-Sharing and Sleep Outcomes in the INSIGHT Study. Pediatrics. 2017;140(1). doi:10.1542/peds.2017-0122
- Margolis LH. A critical review of studies of newborn discharge timing. Clin Pediatr (Phila). 1995;34(12):626-634. doi:10.1177/000992289503401201
さいごに
記事の内容がお役に立ったと感じていただければ、ブックマークをお願いします。それを参考に、今後のテーマを決めて行きたいと思います。
また、疑問点やさらに深めてほしい点などございましたらコメントをぜひいただけると幸いです。