ポイント
・生後3か月までは1日あたり25〜30gが期待される体重増加量の目安で、以降徐々に増加ペースが減少することが多い。
・乳幼児の体重増加は一点だけで評価できないため、目安を上回っていても一喜一憂せず成長曲線を記録することが大切。
・2歳を超えても肥満状態が続く場合は、大人になって肥満になる可能性が高くなるため注意が必要。
赤ちゃんの1日あたり60gの体重増加、多いか少ないか
1か月健診で小児科医が、あなたの大切な赤ちゃんが1日あたり60gの体重増加していることを教えてくれました。さて、あなたはどうリアクションしますか?
A. 「それって多いの?少ないの?」
B.「ええー!1日あたり60gも増えていますか!?}
C.「太り過ぎでしょうか?」
D.「おっぱいやミルクを減らしたほうがいいですか?」
E.「あら、ちょっと多めだけどまあこのままおっぱい飲ませましょうかしら。」
結論からはEのお母さんの反応が正しいです。ここでEを選択できた方は以下の文は読まずとも結構。このまま良い育児を楽しんでください。A~Dを選択したお母さんは、ぜひこのまま読み進めてもらい、一緒に勉強していきましょう。
第一子のお母さんならAもありえますね。体重増加の目安なんて知らなくて最初は当然。Bのお母さんはよくお勉強されているか、すでに育児をご経験された方でしょう。Cの質問に対しては、成長曲線がどう変化しているかが大切です。母子手帳の正常範囲内の帯に入っている場合は大抵の場合問題ありません。Dのお母さん、ぜひおっぱいやミルクは減らさずに。寝返り、はいはい、つかまり立ちなどの発達が進むといずれ体重増加のスピードは落ちてきます。
体重増加の目安
期待される体重増加の目安は、以下のとおりです1。
・生後0〜3カ月:25〜30g/日
・生後3〜6カ月:15〜20g/日
・生後6〜12カ月:10〜15g/日
生後2〜3週間、6週間、3カ月に、食欲と成長のスパートがあるとされております。せっかくスパートしているのに、栄養を減らしたりストップするのは大変もったいない。母乳だとなおさら、ミルクには含まれていない成長を促す因子が含まれているので出るだけあげてください。
3歳で肥満だと大人になっても肥満
2018年にドイツのライプツィヒ大学で行われた研究によりますと、3歳時点で肥満の子どもは90%の確率で大人になってからも肥満であったそうです2。肥満であることがもたらす生活習慣病のリスクは大きい。なので、3歳前後で肥満傾向にある場合は生活習慣や食習慣を見直したほうが良いです。逆にいうと、乳幼児健診で体重増加が著しいからとイタズラに心配するのはただの心労になりかねない、むしろ要らぬ世話であることがほとんどです。
- Chantry CJ, Dewey KG, Peerson JM, Wagner EA, Nommsen-Rivers LA. In-hospital formula use increases early breastfeeding cessation among first-time mothers intending to exclusively breastfeed. J Pediatr. 2014;164(6):1339-45.e5. doi:10.1016/j.jpeds.2013.12.035
- Geserick M, Vogel M, Gausche R, et al. Acceleration of BMI in Early Childhood and Risk of Sustained Obesity. N Engl J Med. 2018;379(14):1303-1312. doi:10.1056/nejmoa1803527