哺乳瓶で授乳される乳児は、1日あたり100万個以上のマイクロプラスチック粒子を摂取している可能性があることがわかりました1。マイクロプラスチックとは、プラスティック片が破砕されてできる微小な粒子のことです。プラスティックは熱に弱く、哺乳瓶の煮沸消毒や暖かいミルクを入れた際にマイクロプラスチックとして溶出するようです。マイクロプラスチックの乳児への暴露を防ぐには、煮沸消毒したあとに冷水ですすぐ、調乳の際には他の容器で作ってから哺乳瓶に移す、などが有効だそう。
マイクロプラスチックは、食料や飲み物を保存するために便利な、ポリプロピンなどのいわゆる普通のプラスティック製品から生まれます。マイクロプラスチックによる健康への影響はまだまだ未解明であり、今後の研究が待たれます。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、マイクロプラスチックと同じく、世界中で環境汚染が最も危惧される物質の一つです。このビスフェノールA型エポキシ樹脂は、コーヒー缶やトマト缶などの主に缶製品の内側に塗装されることで工業利用されています。ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、岡山大学の研究グループから脳神経発達および行動に異常を来すことをマウスで証明する報告がありました2。したがって、マイクロプラスチックについても同じく子どもの健康、特に脳神経発達に関する報告が今後あるはずです。WHOは、飲料水に含まれるマイクロプラスチックは現時点で人体に危険性はないと発表していますが、近い将来にその健康への悪い影響が明らかになるとその方針も変わらざるを得ないでしょう。
ちなみに、ペットボトルはポリプロピレンではなくポリエチレンからできています。どちらもいわゆるプラスティック製品の主な材料です。今回の研究発表ではポリプロピレンに焦点が当てられていますが、それは合成樹脂の世界生産量が1位だから。ポリエチレンは2位であり、マイクロプラスチックの原料であることは変わりなく、健康への影響も同じように懸念されます。ポリプロピレンを分解すると、ポリ(高分子の)プロピレン(C3H6)となり、つまりはプロピレンっていう構造がいっぱい繋がったものということです。
- Li D, Shi Y, Yang L, et al. Microplastic release from the degradation of polypropylene feeding bottles during infant formula preparation. Nat Food. October 2020:1-9. doi:10.1038/s43016-020-00171-y
- Miyazaki I, Kikuoka R, Isooka N, et al. Effects of maternal bisphenol A diglycidyl ether exposure during gestation and lactation on behavior and brain development of the offspring. Food Chem Toxicol. 2020;138. doi:10.1016/j.fct.2020.111235
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