「おんぎゃー、おんぎゃー」
今日も私の働く小児科では、新しい命が生まれました。
赤ちゃんは生まれてくる親を選べません。父親が誰かもわからない母親に生まれる赤ちゃんもいます。生まれてきても、血の繋がりのない父親がいる赤ちゃんもいます。父親がいない場合もあります。
そんな状況にある母親のお産のときは、私は心がざわざわしてしまいます。この子はしっかりご飯を食べさせてもらえるだろうか、愛情をしっかりもらえるだろうか。余計なお世話かもしれません。だけど、心配なのです。
父親が果たす子どもの発達への影響は古くから研究されてきました。父親がいない家庭の場合、子どもの学業成績、自尊心、感情コントロール、社会性の発達が阻害されることが分かっています1。つまり、父親はそれらの発達に大きく関与しているということです。父親の2つの行動が子どもの発達に影響しました。1つは、ポジティブな感情をもって子どもと接したかどうかです。泣き止まないとき、部屋を散らかしてしまったときにネガティブな感情をもってしまうのはある程度しかたのないことかもしれません。しかし、それ以上に子どもと遊ぶときに思い切り楽しむとか、子どもの成長に自信をもつことが大切だと記されています。もう1つは、子どもに安心感を与えられているかどうかです。子どもが家では守られていると感じることができているかどうかは、父親に大きく影響されるようです。そして守られている感覚のある子どもは学校や社会で問題行動を起こすことが少ないことが分かっています2。
よりよい世の中をつくるためには、まず家族が一番大切であることは以前の記事にも書きましたし、おそらくそれは普遍的な事実だと思います。より多くの赤ちゃんが、それぞれ持つ能力が最大限に発揮されるよう、母親も父親も協力して楽しんで子育てできるよう、微力ながら尽力していきたいと思います。
- Opondo, C., Redshaw, M., Savage-McGlynn, E. & Quigley, M. A. Father involvement in early child-rearing and behavioural outcomes in their pre-adolescent children: evidence from the ALSPAC UK birth cohort. BMJ Open6, e012034 (2016).
- Aldous, J. & Mulligan, G. M. Fathers’ child care and children’s behavior problems a longitudinal study. J. Fam. Issues23, 624–647 (2002).
さいごに
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