とある小児科医が伝えたい脳と心の育て方

みなさまのお子さまの潜在能力が、存分に引き出されますように!

早期英才教育は子どもの能力を高めるか?

f:id:Tanaka_Hajime:20190610093731j:plain

Photo courtesy of Shutterstock


自分の子どもには、人よりも抜きん出た能力をもって社会的、経済的に成功してほしい。

多くの親が子どもに対してもつ願望だろうと思います。確かに教育や習い事でIQは高くなりますし1、幼児教育が受けられないことでIQは低下し場合によっては精神発達遅滞となることが歴史的にも分かっています。なるほど幼稚園や保育園などの幼児教育は、子どもの能力を開花させるために良さそうです。では、幼児教育は早ければ早いほど良いのでしょうか?

答えは多くの場合NO、場合によってはYESです。

まずNOの場合について考えてみます。勉強に力をいれている幼稚園とそうでない幼稚園では、就学後の認知能力や学業成績に差はなかったようです。むしろ、勉強に力をいれている幼稚園では、テストに対して不安が強くなり、学校に行くことが嫌になるそうです2。そりゃあそうだと思わされる、当たり前の事実かもしれません。しかし、子どものときの自分が抱いた感情を忘れてしまい、すっかり大人・親になって、良かれと思って子どもにしてあげることが良い迷惑にもなりかねないということです。

ちなみに僕は、小学生や中学生のときに歴史の授業が嫌で嫌でたまりませんでした。年号を覚えたり、興味のない人が何をしたかに全く興味が湧きませんでした。なので、試験の点数はひどいものでした。でも興味のないものはやらないで面白いことを突き詰めれば、中学校の社会の試験で30点とろうが高校で日本史や世界史を選択しなければ地理を選択して90点とることもできますし、医師になることもできることを身をもって知りました。もちろん、おじさんになってしまった今では日本史や世界史にとても興味があります。それは押し付けられたものではなく自分の興味の赴くままに知識を知恵として使おうとする目的がはっきりしているからだと思います。これから学会や旅行でいく土地がどんな土地なのかとか、事前に知っておくことでその土地での時間をずいぶん楽しむことができます。

YES、つまり幼児教育が早ければ早いほど良いのは、どのような場合でしょうか。それは、子どもが遊んでいる感覚学びを身に着けている場合をさします。つまり、子ども自身が高いモチベーションをもって、楽しさを感じながら生きていく上で必要なスキルを学ぶ環境にあることです3。“好きこそものの上手なれ”の状態ですね。講義やドリルなどではなく、ワークショップ実体験型の経験のほうが子どもたちにとっては、とても有効です。教える側にはスキルが求められ、教えるシステムには予め綿密なデザインが必要ですが、子どもたちがあ楽しく遊びながら学べる環境づくりはとても価値ある投資だと思います。

 

  1. Ceci, S. J. How Much Does Schooling Influence General Intelligence and Its Cognitive Components? A Reassessment of the Evidence. Dev. Psychol.27, 703–722 (1991).
  2. Hirsh-Pasek, K., Hyson, M. C. & Rescorla, L. Academic Environments in Preschool: Do They Pressure or Challenge Young Children. Early Educ. Dev.1, 401–423 (1990).
  3. Samuelsson, I. P. & Carlsson, M. A. The playing learning child: Towards a pedagogy of early childhood. Scand. J. Educ. Res.52, 623–641 (2008).

さいごに

記事の内容がお役に立ったと感じていただければ、ブックマークをお願いします。それを参考に、今後のテーマを決めて行きたいと思います。

また、疑問点やさらに深めてほしい点などございましたらコメントをぜひいただけると幸いです。

 

個人情報の収集について

利用者は匿名のままで、当サイトを自由に閲覧することが可能です。

利用者の個人情報を利用者の許可なく、当サイトから第三者へ開示・共有することはありませんのでご安心ください

当サイトに掲載している広告について

当サイトでは、第三者配信の広告サービスを利用しています。

このような広告配信事業者は、ユーザーの興味に応じた商品やサービスの広告を表示するため、当サイトや他サイトへのアクセスに関する情報 『Cookie』(氏名、住所、メール アドレス、電話番号は含まれません) を使用することがあります。

Cookie(クッキー)を無効にする設定は、お使いのブラウザによって違います。

お使いのブラウザをご確認の上、設定してください。

アクセス解析について

当ブログはGoogleによるアクセス解析ツール「Googleアナリティクス」を利用しています。

Googleアナリティクスは、トラフィックデータの収集のためにCookieを使用しています。

このデータは匿名で収集されています。

個人を特定するものではありません。

Cookieを無効にすることで収集を拒否することができます。

お使いのブラウザの設定をご確認ください。

免責事項

利用者は、当サイトを閲覧し、その内容を参照したことによって何かしらの損害を被った場合でも、当サイト管理者は責任を負いません。

当サイトからリンクやバナーなどによって他のサイトに移動された場合、移動先サイトで提供される情報、サービスなどについて一切の責任を負いません。

当サイト以外のウェブサイトの内容および、個人情報の保護に関しても、当サイト管理者は責任を負いません。

お問い合わせ

お問い合わせは、下記フォームに、お名前、メールアドレス、件名、お問い合わせ内容を記載の上で送信ください。

初出掲載: 2020年 2月 15日