中学生の時は、部活が楽しみで仕方がなかった。夕方まで気乗りのしない授業を受けるために、座りっぱなし。休憩時間には、めいっぱい時間を使って教室の後ろで遊んでいたが、体力の余った中学生にはそれでは不十分だった。なまった体を動かせる、放課後のソフトテニス部の練習が楽しみだった。あれこれといろんなこと(将来の不安、命、家族など)を考えて、方向性の定まらない思考が、走ったりボールを追いかけるうちに段々とスッキリするのが、爽快だった。
運動が子どもたち、あるいは私たちの脳に与える影響について調べてみた。
これまで動物実験では、運動が脳機能や行動の発達に良い影響を与えることがすでに分かっていた1。しかし、ADHD児においてそれはまだ証明されていなかった。そこで、ADHDの11-14歳男女を、8週間で48時間の水泳トレーニングをしたグループ18人と、そうでないグループ15人を比較した2。結果は、抑うつ傾向、不注意、認知機能、運動機能がそれぞれ明らかに改善したことが示された。
哲学者の西田幾多郎先生は、人間の善について研究された権威だが、彼は思考が煮詰まると京都の若王子神社から銀閣寺への2kmほどの小道をよく散歩されていたそうである。今ではその道は「思索の小径(こみち)」と呼ばれる。今回はADHD児の運動と脳についての研究を取り上げたが、ADHD児に関わらず運動は我々の思考に良い影響を与えるようである。
https://souda-kyoto.jp/guide/spot/tetsugakunomichi.html
最近は子どもたちを保育園に送り届ける前に、近所の公園に寄り道して、娘2人を遊ばせながら自分は鉄棒などで筋トレを試みている。変な人だと多分、公園を通るみんなに思われているだろうことは、気にしない!
参考文献
- Halperin JM, Berwid OG, O’neill S. Healthy Body, Healthy Mind? The Effectiveness of Physical Activity to Treat ADHD in Children. Child Adolesc Psychiatr Clin N Am. 2014;23:899-936. doi:10.1016/j.chc.2014.05.005
- Silva LA Da, Doyenart R, Henrique Salvan P, et al. Swimming training improves mental health parameters, cognition and motor coordination in children with Attention Deficit Hyperactivity Disorder. Int J Environ Health Res. 2020;30(5):584-592. doi:10.1080/09603123.2019.1612041