ポイント
- インフルエンザワクチンは、生後6ヶ月から接種可能
- 1歳未満の乳児へのインフルエンザワクチン接種の有効性は十分に証明されていない
- インフルエンザウイルス感染予防は暴露機会を減らことが大切
インフルエンザ influenza は、インフルエンザウイルスを病原とする呼吸器感染症です。要するに風邪の仲間ですが、重症化しやすいため他の感染症とは分けて考える必要があります。昨年、我が娘たちもインフルエンザウイルスに罹患して40℃を超える発熱、咳、鼻汁が4,5日続きました。高熱になることが分かっていても、とても心配でした。
早期にオセルタミビル(商品名タミフル)治療を開始すると入院防止効果(重症化防止効果)があることが証明されています1。一般的に多くの抗インフルエンザウイルス薬は発症から48時間以上を経過すると重症患者治療効果は証明されていません。よって、早期診断と治療が必要となります。2009年にインフルエンザウイルスA型、H1N1 pdm09というタイプが世界的に流行しパンデミック(ある病原体による感染症が様々な地域で流行することをパンデミックと呼ぶ)を起こしました。その際に、日本では諸外国と比較して死亡率が驚異的に少なかったことが知られています2。これは、早期の抗インフルエンザウイルス薬による治療を実施したためであるとされています。一方欧米ではその早期治療が行われず、重症の入院患者のみに治療が行われ、結果的に多くの患者が死亡することとなりました。インフルエンザは早く診断し早く治療する、その根拠はこれらの理由からです。
さて、そのインフルエンザを予防する方法としては、手洗いうがいや暴露機会を減らす他に、ワクチン接種があります。一般的にインフルエンザワクチンは、接種年齢が低いほど免疫原性(抗体を獲得する率)が下がります。したがって、生後6ヶ月から接種は法的には可能ですが、その効果は限定的です。ただ、保育園に通っている場合やこれから通う予定がある場合には、予防策として有用でしょう。日本では、生後6ヶ月から3歳未満は1回0.25mLで2回接種を行います。
インフルエンザワクチンは、その年に流行するであろうタイプのウイルスが予想され、それらに対して製造されます。ちなみに、パンデミックを起こし、今年も一番の流行をみせているインフルエンザA型、H1N1 pdm09は2009年以降ワクチン株に加えられています。速報値ですが、重症インフルエンザ感染症で死亡する例がここ数年で今年は一番多いとのこと。しっかり予防し対策しましょう。インフルエンザに限らずですが、国立感染症研究所ではこうした感染症に関する情報がまとまっております。参考にしてみてください。
https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/flu.html
- Dobson, J., Whitley, R. J., Pocock, S. & Monto, A. S. Oseltamivir treatment for influenza in adults: a meta-analysis of randomised controlled trials. Lancet (London, England) 385, 1729–1737 (2015).
- Sugaya, N., Shinjoh, M., Mitamura, K. & Takahashi, T. Very low pandemic influenza A (H1N1) 2009 mortality associated with early neuraminidase inhibitor treatment in Japan: Analysis of 1000 hospitalized children. J. Infect. 63, 288–294 (2011).
さいごに
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