とある小児科医が伝えたい脳と心の育て方

大学で子どもの脳について研究している、小児科医です。2児の父でもあります。日々子どもから学んだこと、研究から学んだことを多くの方に知っていただき、より良い子育てにつながればこれ以上の幸せはありません。

首のすわりも早く、足もどんどん突っ張ります。立たせる練習をしてもよいでしょうか?

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ポイント

  1. 赤ちゃんの粗大運動の発達には順番があり、階段をひとつひとつ登るように、できるようになることが望ましい。
  2. したがって、首がすわったからといって、寝返りやハイハイを飛ばして、立つ練習をすることは禁止事項ではないが、順番どおりに進めるのがよい。

 

 末年始の当直、日直で非常にくたびれております。小児科医の田中一です。いつも乳児健診で多くの健康な赤ちゃんを外来で診させて頂いておりますが、この発達に関する質問は意外と多い。4ヶ月ごろに首がすわり、7ヶ月ごろに寝返りし始め、8から9ヶ月ごろに一人座り、それからハイハイ、1歳前後でつかまり立ちや早い子はもう歩いている場合もあります。さて、首がすわってだんだん体の自由が効くようになった赤ちゃん、立つ練習はしても良いでしょうか。

 

 えはNoかなあ、といつも答えています。理由は、首がすわってから立つまでの間に、必要な発達の段階があるから。ハイハイやつかまり立ちです。ただし、遊ぶ程度の立つ動作はOKでしょう。

 

 今の世の中はなんでも早いほうが、偉いような風潮です。最年少で〇〇の資格取得!最年少で米国有名大学卒業!流行りの教育やビジネス書籍でも、SPEEDの単語が飛び交っております。(仕事は早いほうが良いですから、僕は仕事が遅いので見習わないとですが)

 かし、子どもの発達においては、早ければ良いというものではなさそうです。生物としては確かにより早く立って歩けたほうが捕食されません。しかし、人間は、他の動物より未熟な段階で生まれ、その後大脳皮質を異常なほど発達させて他の動物にはない脳機能を獲得することを選択しました。ゆえに、他の動物が母親の胎内で済ませる発達を胎外で行う必要があります。生まれたばかりのキリンは生後1時間以内に一人で立ち上がりますが、人間はそうはいかないのです。特にハイハイは、体重を四肢で支えながら身体を移動させる負荷の大きい全身運動です。ハイハイによって体幹の筋力とバランスが養われ、それにより歩行が安定して行えるようになり転倒による危険を回避することへ繋がります。

 

 療の現場では発達の段階を知るための検査としてDenver発達検査があります1。この正常発達を示す表のように、階段状にできることがだんだんと増えていきます。早る気持ちが親心ですが、必要な時間をかけて発達の階段を楽しむことが大切でしょう。もちろん、発達が遅れている場合などは健診を機会にお近くの小児科医に相談してみてくださいね。

 

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  1. Frankenburg, W. K., Dodds, J., Archer, P., Shapiro, H. & Bresnick, B. The Denver II: a major revision and restandardization of the Denver Developmental Screening Test. Pediatrics 89, 91–7 (1992).

 

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初出掲載: 2020年 2月 15日