どういう話の流れかは忘れてしまいましたが、先日仕事から帰って何か妻に言ったところ、「何もしないくせに、偉そうなこと言わないで!」と言われてしまいました。その前後の会話の内容を忘れてしまうほど、ガツンと印象がのこる表情、一言でした。
振り返ってみると、ここ最近は仕事、研究、論文の執筆で大忙し。妻との会話も少ないし、家事もほとんど手伝っていませんでした。担当だったはずのお皿洗いも、ずいぶんしてません。ああ、だめな父親だと卑下しながらこの文章を書いています。過去に ”父親が果たす子どもの発達への影響” について記事を書いていたとは思えないほどです。
そういえば、綾野剛さん主演でドラマ化された漫画「コウノドリ」にも、仕事で忙しい父親があまりにも家事を手伝わないから、心に余裕のなくなった母親が子どもに手を出してしまうシーンがありました。母親が感じるストレスは、家庭に大きな影響を及ぼします。
理想的な父親は、仕事もバリバリこなして、家には早く帰って家事を手伝い、子どもの遊び相手をして、妻の話にもやさしく耳を傾け、週末や休みの予定をしっかり立てる!父親としての理想的な役割を果たせば、子どもの成長および発達にいい影響がありますよ、と1。そんなことは改めて研究されなくても、誰でも分かっている話です。イクメンという言葉で苦しむ男性が多いことも、現在育児や仕事を頑張っている母親の方にもぜひ知ってほしいと思います。
父親の役割を、ぜんぶいきなりこなそうとしても、それは背伸びしすぎになるでしょうし、長続きしません。なにより、大黒柱が心身ともに健康でなければ、家庭は機能しなくなってしまうでしょう。僕は、どんなときでも、最低限、妻の話を妻の気が済むまで聞いてあげることにしました。皿が洗えなくても、洗濯物をとりこめなくても。1990年代以降の近年の調査で、母親が考える父親への役割で、最も多かった項目は妻の相談相手や、精神的支持、援助をすること、だったそうです2。物理的に家事を手伝うことももちろんできたら良いのでしょうが、まずは相談に乗ったり、話を聞くことから始めるのも良いのではないでしょうか。
- Pruett, K. D. Role of the father. Pediatrics102, 1253–61 (1998).
- 矢倉 紀子原口 由紀子. 父親の子育て参加の実態とその関連要因. 家族看護学研7, 145–151 (2002).
さいごに
記事の内容がお役に立ったと感じていただければ、ブックマークをお願いします。それを参考に、今後のテーマを決めて行きたいと思います。
また、疑問点やさらに深めてほしい点などございましたらコメントをぜひいただけると幸いです。