みなさんがお住まいの地域にある図書館は、どんな図書館ですか?子どもを一緒に連れていきたいと思える図書館は、きっと良い図書館だと思います。
小生は瀬戸内海に浮かぶ小さな島で育ちました。高齢化率で日本一をとったことのあるような、こどもの少ない島です。その島にもいくつか図書館はありましたが、どれも古い建物で本も多くは収蔵されていませんでした。それでも、手塚治虫先生のブラックジャックは揃っていたので、心打たれる作品を小学生の頃から味わうことができたことには感謝しています。私が高校生のころに、図書館が新しくつくられることになりました。どんな図書館になるのだろうと心躍らせていた私ですが、すぐにその期待は壊されました。出来上がったのは、鼻を覆いたくなる塗料や接着剤でいっぱいの木でできた、ギシギシきしむ床の、夏は熱く冬は寒い図書館でした。私は悔しくてなりませんでした。大人は何も分かっていないと。こんなに無駄なお金をこんな図書館を立てるために使うくらいなら、建物は古くてもいいから新しい本を入れてくれ!夏涼しく、冬暖かい図書館を俺にくれ!そう心で叫びながら、その図書館で、汗がにじむ参考書をにらみ、かじかむ足をさすりながら勉学に励んだ日々は今となってはいい思い出です。
さて、先日、フレデリック・ワイズマン監督の最新作であるEX Librisをみました。世界で最も有名な図書館であるニューヨーク公共図書館の舞台裏を記録した映画です。
「こんな図書館が生まれた土地にあったら、人生が変わるだろうなあ」
そう思わずにはいられませんでした。お金を持たない子どもが、無料で、繰り返し、楽しめる場所として、図書館は子どもの育ちにとても大きな役割を果たします。図書館は、教育者を始めとする子どもと関わりのある者が共同して、子どもがテクノロジーやメディアをどうやって正しく、しかも素晴らしく活用するかについて学ぶ場であるべきだと述べた教育研究者がいました1。全くそのとおりだと思います。子どもたちが、自身のもつ才能を爆発させるために、必要なツールの使い方を学ぶ場は基本的に家庭にあるとは思いますが、それが家庭の外にもあれば可能性がそれだけ広がります。
自閉症や学習障害のある児が、文字は読めないけれど、読み聞かせは理解できる場合があります。そういった子どもに対応したメディアツールが発達しています2。神経学的、身体的な違い(多くの場合それを病気と呼ぶ)で障害を生み出さない工夫があれば、その子がもつ才能を爆発させるために必要とされる環境となります。生まれ持った、誰にもわからない、ひとりひとり違う才能を損なわずに大切に育てられる世の中になるような一助となるように今日も明日からも生きていこうと改めて思います。
タレントの光浦靖子さんが、この映画に対するコメントを寄せておられます。読書家で心優しい方なのだなあと、この一文だけで感じます。
- NAEYC & Rogers, F. C. Technology and Interactive Media for Young Children : (2012).
- Farmer, L. Using technology for storytelling: Tools for children. New Rev. Child. Lit. Librariansh.10, 155–168 (2004).
さいごに
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